2010年8月1日日曜日

とりあえず行ってみた香港・マカオ、その記録(4)(2004年8月3日執筆)

半裸

船に乗る時点で既に目的地が見えていただけあって、時間はあまりかからなかった。10分ほどで到着。

あ、そう言えば、再三再四に渡って暑いと言っているけど、それを示すいい例を思い出した。それは、たまに上半身裸で歩いている男がいるということ。船の乗り場付近にもいた。(3)の最後の写真の、下部の真ん中にも、よく見ると半裸の男が写っている。よーく見ないと分からないよ。


船から


到着。港

日本でいくら暑くても、海岸でもない限り乳首丸出し野郎の目撃者になることはそうそうないでしょ。もちろんここでもそこらじゅうにそういう人がいるわけでもないけど、いても結構自然な感じ。自然というか、仕方ないよな、という感じ。

さて、話を戻すと、着いたわけだ。九竜島に。港を出ると「駅前」という風情で、店が集中している。

道端に座り込んで何かを売っているおばさんが客と何やら大きな声でしゃべっている。人々が自分が分からない言葉を当たり前のこととして使っているのを見ると、外国に来たことを実感する。

どこへ向かおうか。実のところ、それは何も考えていなかったので、歩こうにも歩きようがない。ひとまず、「IFC」という、でかいデパートみたいなモールみたいな建物に入った。しかしまあ、特に見るべきものもなく。

パンダ野郎がガイドブックを開く。「ヒルサイド・エスカレーター」というのがあるらしいので、そこに行くことにした。


日本みたいに全部カタカナにするのとどっちがいいのだろうか

急勾配

そっち方面は、土地的に傾斜が激しい。上り坂だ。「ヒルサイド・エスカレーター」というのが何なのかよく分からないが、おそらくその傾斜を利用した大規模なエスカレーターなのだろう。





特に書くことが思い当たらない


傾斜

だが、5分くらい歩いて、そろそろここら辺かな、というあたりになっても、周りにはヒルサイド・エスカレーターのヒの字すら見えない。

道が分からない。それにこの急傾斜。したくなってきた休憩が。

ということでしばし立ち止まる。パンダが地図を見るが、どう道を間違えたのか判然としない。

「誰かに聞いてみようか?」とパンダ。しかし、どうでもいいんだよな、何とかエスカレーターなんて。それよりはここら辺を歩いて別の場所を探す方がいい。

と思ってもう少し上がってみると、すぐ近くに「香港動植物公園」というのがあることが分かり、入ってみた。それにしても何度も何度もしつこいのは承知だが、この暑さ、湿気、半端ではない。思わず公園に入ってすぐに見つけたベンチに倒れこむように座る。顔から汗の雫(しずく)が垂れ落ちてくる。しばし放心。

ただそのベンチは当然、太陽光線で加熱されているわけで、座っても心地よさは味わえない。立ち上がるしかない。そして形式的に動植物公園を一通り回ってみるが、気候が俺の中の動植物への元からわずかしかない好奇心を軽く吹き飛ばしている。

気付いたら出口だった。何よりもともかく冷たい物を体に吸収したいので、少し引き返して、コンビニを探す。

あった。俺はコーラ、パンダはアイスを買う。いやあ。こんなに切実に冷たいものを欲しくなったのは久しぶりだ。求めていたものが得られてひとまず落ち着く。


目が回りそう

そこから街を「下山」していって、初めに入った建物、「IFC」にまた入った。

何が俺たちを引き寄せたかって、それは何よりも冷気だ。前にも書いたが香港では冷房の風が客引きになるようで、多くの店の前を通ると、歩行者を招き入れるように冷たい風が吹いている。普通に考えると異常な冷房で、環境とか健康とか諸々なことによくないだろうことは想像に難くない。

で、特にここはその「風」が尋常じゃない。入り口から10メートルは離れているのに明らかに涼しさを感じる。



入ると何やら絵画が展示してあって、何となく見物。都会の高層ビルディング(スカイスクレイパー)を描いた作品で統一されている。

どこかに座って休みたかったが、一向にベンチを見つけることができない。いつまでもここの中を歩いているのも無意味なので、再び外気に晒される。


街でよく見る新聞売り場


サブリミナル効果

街をぶらぶらと歩き、埠頭(ふとう)へ。ベンチではないのかもしれないが座れるようになっているところがあって(石)、俺はそこに腰掛ける。パンダは石が熱いのを嫌がって立ったまま。

ワンタンメンを求めて

何か行きたい所がないか見てくれと、パンダが持参してきた二冊のガイドブックのうち俺に片方を手渡す。そこで俺は初めてガイドブックを開いた。適当にページをめくると海老ワンタンメンの店が紹介されている。そう言えば名物だというがまだ食っていなかったので、ここに行きたいと、初めて自分の口から行き先の希望を述べる。

その店はTIMES SQUAREという場所の近くにある。そっち方面にいくトラムに乗った。トラムというのは、二階建てのバスみたいなもんで、道路を走るが電車みたいに一定のコース上を走る。

ここでも例のオクトパス・カードが使えた。旅行者には本当にありがたいカードだ。入り口にセンサーがあって、そこにカードをあてると、電車と同じように、回転式の改札(?)を回せるようになる。


二階席の車窓から


おそらくトラムの窓から撮った

15分くらい乗った。どこで降りるかはパンダの勘任せ(地図を見ながら「大体ここら辺かな」)である。旅行慣れした彼はなかなか頼りになる。

ベルトと下着

さて、飯を食うのも重要だが、俺にとってはそれ以外に二つやりたいことがあった。というより、二つ、買いたいものがあった。一つは、ベルト。俺は来るときにベルトがいらないズボンを履いていて、持参してきたズボンを履くために必要なベルトをうっかり忘れていた。

もう一つは、下着。何と、不覚なことに俺は下着をいっさいカバンに詰めていなかった。

言うまでもなく、両方とも地味ながら、なくては困る。なかなか渋いところを突いた忘れ物だと我ながら関心する。ちなみに時間は大体午後6時くらい。

何と、近くにそごうがあるというのでそこに向かう。そこならちょうど必要な物が買えそうだからだ。しばらく歩くとあったあった、日本資本のデパートが。

NIKEの店を見る。店員の女性が通り過ぎながらシナ語で何やら言ってくるが適当にやり過ごす。面白いTシャツを見つけた。白い生地に赤で「足球」と書かれたのもあってひかれたが、白というのが難点。白のTシャツはいくつか持ってるからねえ。結局、赤のを自分のと土産用に買った。


そう言えば長身の中国人がNBAにいたな


サブリミナル効果

レジで奥にいた店員っぽい人に"Excuse me?"と言ったら"Hello"と言って、別の店員に接客をうながした。どうやらその人は店員ではなかったらしい。俺の対応に来たのは、さっきの何かを俺に言ってきた女性だ。また何かを言ってくる。「?」という表情の俺に「ん?」という感じで微笑むが、"Sorry, I don't understand the language"のunderstandくらいまで言ったところで"Oh, Sorry"と言ってきた。

下着もゲトった。何着買えばいいかと迷っていると(普通に日数分買うのもいいがいかんせん金がないので)、「一つを二日履けばいいじゃん」というパンダの訳の分からない甘言に乗せられて、残り日数より一着少ない2着を購入。トランクスって「着」でいいのか? 単位。

ベルトは、紳士もののおっさん仕様のはあったが、結局いいのを見つけられず買わなかった。持ち越し課題。

そごうを出て、ぶらぶら。西武デパートや、やたらでかくて店内が順路になっている家具屋、HMV、トイザラスなどを見る。

ここで新たなテーマが浮上してきた。トイレだ。例によってなかなか見つからない。一回、見つけたと思ったら、行ったパンダによると鍵付きで入れなかったという。「香港の人たちはどこで用を足すのか・・・」。素朴な疑問が改めて口をつく。



と、まあ色々歩いていると、何となく気になる空気をかもし出している服屋を見つけたので入る。若者向けの店だ。店内で日本語ラップが流れている。聴いたことない曲。歌っているのは誰かな、と耳を澄ましていると、何とKASHI DA HANDSOMEではないか。歌詞の中で名乗っていたので分かった。彼のことは日本でも普通の人はまず知らない。たぶん客演が多くてソロではまだCDを出してないはず。

よさげなベルトを見つけた。手に取ると、店員の男性(25くらい?)が近寄ってきて何か言ってくる。定番セリフ、"Sorry, I can't speak Chinese"を言うと、普通に英語に切り替えて話してきた。かなりシナ語なまりが強く、容易に聞き取れはしなかった(向こうの人の英語は注意して聞かないと英語と認知できないほどだ)が、何回か聞き返すと、"I'll bring a new one for you(新しいのを持ってくるぜ)"と言っているのが分かった。納得して商品を渡して数十秒すると戻ってきて、丸く巻かれたベルトを俺に渡した。"No more?(他には買わない?)"と聞いてきたので"No more(買わない)"と返事、レジへ。レジでは"Do you need a bag?(袋は必要かい?)"、"No thanks."、"Bye, thank you"というやり取りをした。

それにしても、街の普通の洋服屋の兄ちゃんが当たり前のように英語を操ってるとは。驚く。言葉はなまっているが、それはお仕着せの学習ではなく、普段の慣習で自然に身に着けたことを示唆するのではないか。

そこで俺としては一件落着、という感じなのだが、そうはいかないのがパンダだ。さっきトイレが見つからなかったと書いたが、それはまだ解決していないのだ。だが「我慢できる」と言うので、その問題を先送りして飯を食うことにした。

拍子抜け

ワンタンメンの店は、ガイドブックの地図で見ると、TIMES SQUAREのすぐ近くにある。巨大モールの目前で立ち止まり、どこかな、とパンダが地図を見ていると、すぐ目の前に店があるのに俺が気付いた。「池記(ちけい)」という店だ。

入店。4人くらいが座れるテーブルに案内された。メニューが写真入りで助かる。俺とパンダがそれぞれ、海老ワンタンメン(24ドル)と、デザート(たしか二人とも18ドル)を一つずつ頼んだ。俺が頼んだデザートは「豆腐花」といういかにも健康的なやつ。

もう5時を過ぎている。ここで区切る。何に拍子抜けしたかは次分かる。