2012年8月7日火曜日

2012年8月1日~7日 日記

2012年8月1日(水)

・自分に自信を持ちすぎるのは、考えものかもしれない。自分がすべて正しい、自分がすべてを知っているという人は、おそらく学ぶことをやめている。本当にすべてを知っているのではなくて、自分が見えている景色がすべてだと思い込んでいるだけ。

・スポーツ選手だけでなく、実は会社員の能力開発や評価にとっても年齢は非常に重要かつ冷酷な要素であることが最近分かってきた。同じ能力であれば、若い方が労働市場での価値は高い。一定の年齢を重ねた社員が、新しいことを学ぶことへの腰の重さ。新入社員との吸収力の差は歴然。

・これが何を意味するのかというと、会社員の選手寿命は最大で40年くらいと言えども、大筋においては、最初の頃に身に付けた能力や姿勢で最後までやりくりをしなければならないということだ。具体的にそれは何年くらいで、何歳までなのだろうか? 山崎元氏の『転職哲学』には30代前半と書かれていた。おそらくそんなものだろう。いずれにせよ、最初の数年間で、土台は出来上がってしまうのだろう。



・日本以外の企業はすべて外資系。つまり世界の大多数の企業は外資系。それなのに外資系企業やそこに勤める人たちを批判して忌避する人がいる。もし仮に「外資系企業」全体に共通する特徴があり、日系企業がそれと異なるのであれば、異常なのは日系企業の方ではないか。

・ガイシ、ガイシと騒ぐのは、自分たちが「内」でありそれ以外は「外」であるという排他的な姿勢、一種の共同体意識と関係しているのだろう。日本では本来機能集団であるはずの企業が共同体になっているという指摘を小室直樹氏の本で学生時代に読んだ。それがずっと頭に残っている。

2012年8月2日(木)

・企業に機能集団と共同体の二種類があると仮定すると、転職には1)機能集団から機能集団への移動 2)機能集団から共同体への移動 3)共同体から共同体への移動 4)共同体から機能集団への移動 の四種類があることになる。

・共同体寄りの企業に身を置いている方が、仕事と会社と人生が同化しやすいのかもしれない。

・今日読んだ記事で、面白い理論を知った。曰く、仕事における不満足と満足は同一線上にはなく、不満の解消と満足の実現はそれぞれ別の要因によって引き起こされる。たとえば、給与の低さは仕事への不満足を引き起こすが、それを解消すれば「不満足が軽減される」ものの「満足する」わけではない。ハーズバーグという学者の「二要因理論」というらしい。アマゾンでこの人の"The Motivation to Work"という本を注文した。

勉強の秘訣について(その2) 面白がる力



・『モチベーションで仕事はできない』(坂口孝則氏)。「情熱的な精神状態は、技術・才能もしくは能力不足の表れであることが多い」(Eric Hoffer)。しかしながら、モチベーション(もしくは情熱、やる気)と技術の向上は、完全に切り離せるわけではなく、両輪の関係に近いのではないか。「モチベーション」そのものが目的化しては本末転倒だが。





・やたらと精神論を語るやつは、技術や知識が足りない。英語をろくに勉強してないやつに限って「言葉はハートだ」とか言い出す。ふざけんな。一方で、人生には少しの精神論は必要だ。一定の技術や知識を身に付けた人には、そうなる過程で、情熱が能力を上回っている時期があったはずだ。

・私は自己啓発書を一生懸命読んでいた時期がある。すがるように。今の自分にとってその大半はクズみたいな本だ。でも、そのときの自分にとって沁みる本や、響く本だったわけだから、自分にとっては必要だったんだと思う。「怪しげな自己啓発書なんて読まずに専門書を読めばよかったのに」なんていう後知恵には価値がない。

・「古典を読め」ほど正しくて、同時につまらない助言はない。「早起きしろ」に通ずる何かを感じる。罰でもないかぎり、正しいだけの言葉に従うほど人は合理的ではない。正論はつまらない。

・『モーニング娘。全シングル MUSIC VIDEO Blu-ray File 2011』が届いた。DISC 2を通して鑑賞した。24枚目のシングル「涙が止まらない放課後」から47枚目の「この地球の平和を本気で願ってるんだよ!」「彼と一緒にお店がしたい!」(この2曲は当初両A面だったが後者がカップリング扱いに変更された。だから厳密に言うと「彼と」はシングルではない)まで。ごく最近の曲になるまで画質には粗が目立つ。37枚目の「ペッパー警部」になるまで表示が横長テレビの画面いっぱいにすらならない。



・一度Blu-rayの世界を味わってしまうと、DVDには戻れない。昔(とはいっても数年前)のDVDを観ていると、このDVDというものが高画質とされていた時代があったのが、にわかには信じがたい。

2012年8月3日(金)

・コム・デ・ギャルソン・オムのシャツの形が、今季から変わったとのこと。試着してみたら、今までのより細い。悪くはないんだけど、ギャルソンがこれを出す必要はあるんだろうかと思ってしまった。

・木ボタンのチェック柄シャツが目を引いたが、実際着てみたら「ギャルソンのシャツ」の形ではなかったためピンと来なかった。これは単に大きさの問題ではなく、設計思想(?)の問題。細いからといってサイズを上げて解決するわけではない。

・昼食は池袋「逸品火鍋」のホイコウロウ定食。680円。この店では火鍋ばかり食べていたが、回鍋肉もかなりうまい。にんにくが効いている。自分でもこれくらいの回鍋肉が作れれば。

・Twitterである方が「床屋さんがお客さんと会話するのは眠らせないため(大意)」というpostをしていたので、今日美容室で美容師さんに聞いてみたら「自分はそんなつもりでお客さんと話したことはないし、周りでも聞かない。でも床屋さんは刃物を使うし美容室よりも作業は細かい。だから床屋さんだったらあり得るかも」という見解。

2012年8月4日(土)

・ハロプロ・ファンの間でやたらと評価が高いように見える太陽とシスコムーンの1stアルバムを聴いてみた。R&B色が強い。好きだけど、これを聴くなら嶋野百恵を聴くな。これだと自分の脳内で「ハロプロの音楽」という絶対的なジャンルというよりは、Japanese R&Bとして認識してしまう。ただ、聴き込んでいけばもっとよさが分かっていくかもしれない。



・「自分はマネジメントは向かないと思っている。」大学時代からの友人にそう話した。「たしかに。大学のときからサークル活動もせず、物書きみたいなスタンスだった。」そうそう。昔から俺のことを見ているだけあってよく分かっている。でもね、そういう仕事ってなかなかないんだよ。組織に属する以上は、組織内の階層を上るという命題から自由にはなれない。

・中村淳彦氏の『職業としてのAV女優』読了。そもそもAV業界というものが法律的にグレーな存在だとは知らなかった。AV女優やその志願者たちの実態と人生を、淡々と描き出している。全体を語りながら個々の人生を描き、個々の人生を描きながら過度の一般化や感情に流れていない。知らないことだらけだった。中身の詰まった新書。



・AVというのは特殊な産業ではあるけれども、それに関わる人たちのことを知ると、自分が見えている世界、ましてや自分がやっている仕事なんてのは色々ある仕事の中の一つに過ぎないんだなと再認識した。それで偉そうに仕事を語るのもどうなんやろと思ってしまうな。

2012年8月5日(日)

・昨日のオリンピック、サッカー、エジプト戦。日本の選手たちは、3対0で勝っている後半のロスタイムになっても相手のGKにまでプレッシャーをかけて最前線からボールを奪いに行っていた。普通に考えれば奇妙な光景である。相手がボールを回して時間を浪費するのを防ぐために負けているチームがやることだからだ。三点差ではなく一点差であれば、批判の対象だったかもしれない。

・奥山真司氏の『世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう』読了。自己啓発書に食傷した自分でも面白く読めた。戦略理論と自分の人生をつなげることには何年も前から興味があったが、その具体的なやり方を手ほどきしてくれるのはありがたい。大学時代に奥山氏の「地政学ーアメリカの世界戦略地図」を読んだ。あれはいい本だった。今アマゾンで出版年月を見たら2004年10月。8年近く前か。そりゃそうだな。大学を卒業してから約7年半たっているわけだから。





・昔聴いていたCDをたまに聴き返したくなって、iTunesでリリース年を確認すると10年前後前ということが最近よく起きる。会社に入ってから約7年半だから、大学に入ってから1年半(卒業2年半前)の時点が、今から10年前。2002年のW杯が10年前か!

・何かを10年とかそこら追い続けてきたら、その何かはもう自分という人間の一部なんだと思う。だから、そういった対象との自分の関わりを語ることは、そのまま自分の人生を語ることだ。

・アウトドア用品店で見た防虫機能付きのシャツ。買う何歩か手前まで行ったが、よく考えたら無意味なのではないかと気付き思いとどまった。山を歩いていて虫が襲ってくるのは主に顔や手首等、肌が露出している箇所である。防虫機能が付いていようがいまいが、肌が覆われていれば虫除けになる。そのシャツを着たとしても、肌が露出する部分は虫に刺されてしまうのではないだろうか。

・アウトドア用品店のセールで、知らないブランドの長袖Tシャツと、THE NORTH FACEの襟付きシャツを買った。両方とも紫外線を防ぎ、すぐに乾く。アウトドアの服は、抜群に使い勝手がよい。中途半端なファッション・ブランドの服を買うくらいなら、アウトドア服の方が断然よい。いずれ富士山なんかも登ってみたいから、それを見越して少しずつ装備を集めていく。

2012年8月6日(月)

・昨日だったか、もっと前だったか。オリンピックのサッカーの試合で引き分けを狙うのはフェア・プレーの精神に反するとする記事がTwitterで流れてきた。最初はどうせサッカーを知らない門外漢が書いたのだろうと受け流していた。今日、ふと気になってその記事にあたってみると、サッカー専門のジャーナリストによるものだったと知り、驚くとともに困惑した。記事では明言されていないが、要は「女子サッカーはアマチュアなんだから、プロの真似はやめなさい」ということが言いたいのかな。

引き分け狙い…なでしこ、フェアプレー精神はどこへ

・結びの「眠い目をこすりながらテレビの前で試合を見守った少年少女たちを含めた日本中の人々を落胆させた罪は、けっして小さくはない。」この筆者は、驚くことに何の証拠も示さずに「日本中の人々」が落胆したと言い切っている。自分が気に入らなかっただけでしょ?

・少しでもサッカー観戦経験があれば、自分たちの意思だけで結果を操作できるほど単純じゃないことは分かりそうなものだが。もちろん、相手と組んでいたらそれは八百長。監督が「引き分け狙い」を指示して引き分けが必ず手に入るなら、今後サッカーの大会前には毎回「優勝狙い」を指示するべき。

2012年8月7日(火)

・『世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう』を読んでふと思ったこと。学生時代に戦略の階層(世界観、政策、大戦略、軍事戦略、作戦、戦術、技術)でいうどの高さの思考や経験を積み重ねてきたかが、将来その人が職業人としてどこまでたどり着けるかに強く影響するのではないだろうか。たとえば、一番下の「技術」階層に特化してきた人は何かの技術を用いた作業員にとどまる、という風に。だとすると、それは「学生時代はリベラル・アーツを習得すべし」論の根拠になるのではないだろうか。

・しかし、ただ「リベラル・アーツを学べ」といったところで、それは学生にとって目の前の就職難を乗り越えるための有効な答えにはならない。短期的に就職できなければ、一生、長期的なキャリア形成はできない。

・給料の安さに不平を言っている人がいたとする。その人に対して「転職エージェントと面談して、今までやってきた仕事を説明して、あなたに今の年収を超える求人案件がどれだけあるか、調べてもらってください。その上で、本当に今の給料が安いのかどうか、考えてください」と言ったら大半の場合、黙り込んでしまうのではないだろうか。特に、40代以上の人たちは。市場価値という観点を無視して高いだの安いだの言っても不毛だ。同年代だからといって、異業種で異なる職種に従事する友人の給料と比較しても、無意味。