2010年5月1日土曜日

2010年2月5~15日インド旅行記 (5)

2:45にホテル前に行くと、さっきのリクシャ運転手が待っている。国境(アターリー/ワガ国境)とホテルの往復で500ルピーとのこと。

雨が降り出す。運転手が席に雨よけをかけてくれる。インドに来て雨が降ったのは初めてだ。

でも5~10分ほど乗ったところだろうか、降ろされて、こっちに乗れと乗用車に案内される。車の運転手は、リクシャ運転手によると、そいつの父親らしい。

するとリクシャ運転手が、50ルピーのチップを要求。おい、最初往復で500ルピーと言っただろと抗議するが、ここまで連れてきたんだからいいだろと向こうは譲らない。仕方ないので払う。

父親に「お前の息子はグッド・ビジネス・マンだな」と言うと父親は頷く。

ちなみに後から見たのだが、「歩き方」に載っていたアムリトサル発の国境までの運賃相場は、ジープ・ツアー(ただし1台8人)で75~85ルピー、リクシャで250~300ルピー。

車の移動はさすがにリクシャなんかよりは快適で安心感がある。運転手は何度か「ほらあそこに・・・があるよ」的にガイド的な発言をしてくれる。しかし英語がほとんど通じず、まともに会話を交わすことはできない。


(インドに雨は似合わない。そういえば傘さしてる人ほとんど見ない)

国境付近に到着。国境そのものまでは車で入れない。セキュリティ・チェックがあって、カバンも持ち込み禁止。

セキュリティ・ゲートの開場を待つ人で鮨詰めになっている。満員電車のようだがインド人は他人と身体が接触することへのストレス耐性がとても強いらしく、苛立っている人はいない。なぜか前の人の背中に手を付けている人がちらほらいるが、やられている方は気にしている様子もない。

先に馬に乗った兵隊がゲートを通り抜けて、次に女性が通される。最後に男。ゲートを抜けると走ったり歌ったりの人もいてお祭り騒ぎ。


(ついに門が解放)


(とにかく楽しみらしい)


(人に酔うわ)

ただしそこから一気に進ませてくれるわけではなく、何度か止められ、前の方の混雑が解消するまで進めない。そんなに長い距離ではないのだが人の密度の高さもあり結構ストレス。


(こうやって止められる)


(あれが会場か)

会場はスタジアムみたいな感じ。「歩き方」によると外国人はVIP席に案内されるらしいが、そんなことは一切起きず、他のインド人たちに混じって、しかめっ面の兵隊に押されながら会場に入れられる。

全部立ち見席。「歩き方」に書いてある通り、セレモニー開始前は音楽が鳴り響き女性たちが踊っている。インド国旗を持って走ったり。観客も踊ったり歓声をあげたり。ライブ会場みたい。


(みんな楽しそう)


(旗持って走る)


(いかにもインドという音楽でノリノリの会場)

散々踊らせておきながら、時間になると兵隊が邪険な感じで「早くどけ」みたいな感じで彼女らをどける。

よく見えないが、向こう(パキスタン)側も同じようなことをやってるみたい。


(光学ズームいっぱいでパキスタン側を撮影)

ベストを着たヒゲが横に兵隊を引き連れて「これから始まるぜー! 盛り上がってくぞー!」みたいなノリでマイクにがなる。いよいよ本番のようだ。


(開始のあいさつかな)

本当に国家的儀式かと疑うくらい、イベント色が強く、MCも観客を煽る煽る。

聞き取れたのは

ヒゲベストMC「ヒンドゥスターン!!!」
観客「ヒンドゥスターン!!!」
(以下、繰り返し)

だけだが、観客とコール・アンド・レスポンスを繰り返し会場の熱気を高めていく。

趣旨は分からないが、ヒゲベスト野郎が兵隊の口元にマイクを持っていくと、兵隊は息が切れるまでずっと「ああああああああおおおおうあああうえええあああああ」と叫び続ける。肺活量こんだけあるんだぜってこと? 観客も兵隊と競うように声を出す。


(この冒頭が兵隊に声を出させるくだりの映像)


(盛り上がりも最高潮)

どうやらパキスタン側も同様に兵隊が声を出してるようだ。だからインド対パキスタンの肺活量勝負? ちなみにパキスタン側が叫んでる間は、こっち(インド)側の観客は口に手を付けたり離したりしつつ声を出してそれをかき消そうとしている。


(異様な雰囲気だけど観客はみんな楽しんでる)

対決色が強く、何か物々しいように聞こえるかもしれないけど、殺気立ってる感じは全然ない。むしろ観客はみんな祭りを楽しんでる感じ。

最終的に、兵士たちが足を異常な高さに上げる大げさな歩き方で国旗があるところまで行って、お互いの国旗を降ろして、イベント終了。

外国人席(本当にそんなものがあるのか?)だったらもっといい席でゆったり見られたのかもしれないけど、大量のインド人に混じって彼らと同じ視点でこの行事を見られたのはいい経験だったよ。

会場で子供がビデオCDを売り歩いてて100ルピーで購入したが、一回も見てない。

帰りは通行規制がなく、ストレス・フリーでさっさと元の場所まで戻ることができた。車を見つけ、乗り込む。カバンを中に預けていたので、何かのときのためにコンデジでナンバー・プレートを撮影しておいた。

車に入るが、カバンがない。

俺「俺のカバンは?」
運転手「後で。問題ない」

道すがらも何度かカバンはどうしたと聞くが、何度聞いても問題ないの一点張り。相手がちゃんと英語を話せないのも相まって不安増大。

到着し金を請求されたので「カバンを出してくれ。その中に金が入っている」というと奥の方から出してくれた。

どうやら、盗難防止で奥の方にしまってくれていたみたいだ。

ホテルに戻ると7時くらい。肉が食いたい。意気揚々とホテルのレストランに入りメニューを見るが、野菜しかない。スタッフに確認するがやはりベジタリアン・メニューしかないとのこと。肉がなかなか食えないのはインド旅行の大きなストレス源の一つだ。

仕方なく、Hot'n'sour vegetable soup(辛くて酸っぱい野菜スープ。60ルピー)とSweet lassi(甘口ラッシー。30ルピー。店によって甘口と塩味の二種を出しているところがある)を注文。

それらを飲みつつ、ノートに旅行記を付ける。スタッフを呼び、例のモーニング娘。のアンケートをしてみるが、相手は「分からない」とかなり怪訝な表情で困惑。日本人みたいにわざわざ上司(受付にいる彫刻みたいな顔をした親父)を連れてきて、話を大きくしやがった。そいつに、俺は大学で社会学の調査をしていて、と嘘を並べて説明したが、そいつも「分からない」「後で英語が分かるスタッフが来るからそいつに話してくれないか」と官僚的な対応。本当に分からないのかは疑わしい。

ただ、デリーなんかと比べて英語が通じる率が低いのは確かだ。別の機会にリクシャ運転手に調査を試みたところ、"Me no English"という片言英語で拒否された。

まあとにかくこれできつくなり、調査を断念したよ。調査の結果を下にまとめる。右の括弧内に書いてあるのは、投票時にいただいたコメント。一部、一人で2票入れた人もいる。

1位:ジュンジュン 6票
2位:道重さゆみさん 4票
3位:高橋愛さん 3票
3位:久住小春さん 3票
5位:光井愛佳さん 2票
6位:新垣里沙さん 1票
6位:田中れいなさん 1票
最下位:リンリン、亀井絵理さん 0票
(有効投票20票)

インド人による主なコメント
「全員を一晩貸してくれれば判断できる」(投票せず)
「ベイビーが二人いればグッドだね」(道重さゆみさんと高橋愛さんに投票)
「Sweetだ」(道重さゆみさんに投票)
「Beautiful」(高橋愛さんに投票)

結果として思ったように投票数は稼げなかったけど、これでも大変だったんだ。回答拒否されるときや変な顔されるときは精神的にこたえたよ、正直。回答数が少ないからこれをもって何かの結論を出すことはできないね。でも、YouTube動画の再生回数を見るかぎり(4/20に公開して5/1現在2414回)それなりにたくさんの人に楽しんでもらっているようだから、まあやった甲斐はあるかな。

端から見るとずいぶんアホなことやってるように見えるかもしれない。でも、何度かインドに来るうちに、周りがどう思うか気にする前に、自分のやりたいことをやる、自分の目的を達成するのが大事だと思うようになってきたよ。もちろん他人に迷惑かけるのはよくないけど、適度などん欲さは人生を楽しむために必要なんじゃないかな。

インド旅行をしてると、自分が成長していくのが自分で分かる。何か、強くなれるというか。それが、つらいこともあるけど何度も来たくなる理由だと思う。この国に慣れたら大物になれるよ、たぶん。

それにしてもまだ三日目? 若干お腹いっぱい感があるんだが。

お腹と言えば、インドに来てから食欲がほとんど沸かない。この旅行記であんまり食事の話が出てこないけど、ここに書いてある以外には食事は基本的にしていない。さっきも肉が食いたいと言ったけど、たしかに頭では食いたいんだけどパラグアイ(腹具合)的にはあまり肉を受け付ける感じではない。

ちなみにアムリトサルの町には、地元のドライ・フルーツの店なんかに混じってDomino PizzaやLevi'sといった見慣れたブランドの店も見る。

ホテルのレストランで「歩き方」を見ていると、黄金寺院は夜の10時まで開いてるらしい。黄金寺院を見れば、この町に来た目的はほぼ達成したことになる。さっさと見てしまって明日早い時間にダラムシャーラーに移動するか。

何か、この町にはあまり長居したくないんだよね。明確にこれっていう理由があるわけでもないんだけど、雰囲気というか、直感というか。あまり自分として居心地がよくなくて。

さっき俺の調査を変人を扱うように断った彫刻面の受付に黄金寺院がまだやってることを確認し、そのまま寺院へ向かう。

靴とカバンが持ち込み禁止。それぞれ別の場所で預けてトークンと交換。

入り口で水を入れ物に入れて並べている。どうやら入る前に飲むらしい。水は心配だが宗教的に必要なのであればスルーするのも失礼なので一応軽く口をつける。(続く)