2010年8月1日日曜日

とりあえず行ってみた香港・マカオ、その記録(2)(2004年7月9日執筆)

パンダホテル

バスに乗っている30分くらいの間、ガイドのおじさんが乗客の日本人たちに、日本語でトークを展開し、色々な情報を提供してくれた。日本語自体は、注意して聞き取らないと意味は汲めないことも多かったが、内容は聞くに値した。たとえば、こんなことを言っていた:

・香港ドルと日本円の交換レートは、旅行会社とバスの中で両替すると、1香港ドルが14.8円。銀行だと14.5円。ホテルだと15円だが手数料がかかる。うちで両替してくれ。

・治安的には、男性がいれば安心。女性だけでも二、三人いれば大丈夫だが、一人だと危ない。ただ、一般的には、香港は安全な場所だからあまり心配はしないで欲しい。

・観光客を騙す手口として、お釣りを渡すときに、札束の中に中国元を紛れ込ませる、というのがある。気を付けてくれ。こういうのは小さな店に多い。大きなところに行けば、そんな詐欺には会わない。

・香港名物の一つに、ワンタンメンがある。ワンタンの具の中の、海老の比率が高ければ高いほど、値段が高くなる。海老対豚が3対7の場合、11ドル。5対5の場合、18ドル。そして100パーセント海老の場合、35ドル。(数字はもちろんたとえだろう。)店によってワンタンメンの値段は違うが、それは必ずしも料理の質の違いを意味しない。海老をどれだけ使っているかの指標と思ってくれ。

ホテルに着く間際に、しゃべり終えたガイドさんが前から席を巡回して、希望者との両替に応じた。俺もパンダ野郎も、3万円分、通貨を交換した。つまり、450ドルを少し切るくらいの金額を手にした。これがこの滞在での軍資金だ。

バスが宿舎前で停車したときには、既に夜の11時過ぎだった。ホテルに入っても、すぐには部屋には入れなかった。色々と、ガイドの面倒な説明を聞いたり、紙に自分たちの名前と日本での住所を書かされたり、そして最終日のロビーでの待ち合わせ時間などを伝えられたりした後、ようやく自由になった。

部屋は19階。1919号室だ。(*この番号に関して、パンダ野郎が小学生並みの下ネタを口から放って俺を絶句させたことについては、このページの品格を落とすため、あえて記述するのは避ける。)とりあえず、無事にここまでたどり着けたことに安堵。長旅を経て宿舎の部屋に入ったときの安らぎは、何とも言えないものがある。

旅行会社の料金プラン中、一番安いホテルだが、入ってみると、悪くない部屋だった。ベッドが二つあって、テレビやシャワー、ドライヤーなど、必要なものはすべて揃っているので、少なくとも不自由はしなさそうだ。よしよし。

もうちょっとで日付が変わる。そろそろよい子は寝る時間なのだが、このまま一歩も外に出ずに初日を終えてしまうのはもったいない。少し休んでから、そこら辺を歩いてみることにした。

休んでいる間に、両替してもらったお金を観察する。特徴的なのは、硬貨も紙幣も、(おそらく)すべて2種類ずつのデザインがあることだ。個別の通貨では、10ドル紙幣のデザインの奇抜さが気に入った。紫を主体にした細かな色使いで、落ち着いた色が多い他の紙幣と並べると、明らかに浮いている。俺好みの、要するに変なデザインだ。


札。中央が10ドル


硬貨。日本の100円玉の倍くらい厚いのがあった

パンダ野郎はシャワーを浴びた。濡れた髪を乾かさないので、友人達から心配されている髪の毛が、ますます傷んでゆく。

鍵を預ける

近くにコンビニがあるという話(バスの中でのガイドさん曰く)なので、そこまで歩くことに決めた。どこにあるかは分からないのだが。

パンダ野郎が、ホテルのロビーに預けるつもりで、スタッフの一人に鍵を渡そうとするが、相手(短髪でメガネをかけた生真面そうな青年)がまったく要領を得ない。それどころか、明らかに当惑の表情を浮かべている。どうやら、ここには、鍵を預けるという概念自体がないようだ。

俺が英語で説明しようとするが、とっさに言葉が出てこない。口ごもって、何度か言い直したが、何とか "Could you keep the key 'till we come back?" みたいなことを言うと、相手は納得した。

俺は、普段、英語は、ラジオを聴いたり、雑誌を読んだり、本を読んだりしてはいるのだが、最近は、口に出して英語をしゃべるということをほとんどしていない。そのため、しゃべることに関しては、明らかに勘が鈍っている。それを痛感した。もっとも、能力を失ったわけじゃない。慣れて感覚を取り戻せば大丈夫な自信はある。

それでも悔しい。この旅行中に、パンダ野郎による「もしかしたらこいつ、英語出来ないんじゃないか?」という疑いを晴らさなくてはな。

コンビニ

外に出ると、改めて、暑い。思わず苦笑いしてしまう。この時間でこれかよ。昼間はどうなってしまうんだ・・・。言い忘れていたが、香港は亜熱帯らしい。成田からの飛行機に乗って初めて、地図上の位置を知ったのだが、シナの最南端にある。単純に考えて、沖縄より南、すなわち暑いのだ。

深夜だし、初めて歩く街なので、多少、緊張感を持って歩く。だが、俺らより歳がちょっと上くらいの女性が二人で談笑していたり、中学生くらいの男がいたりして、危険な感じはしない。


名物らしい、二階建てバス


夜の街。といっても住宅街

中学生の男は、コンビニの近くに行くにつれ増えていった。(コンビニは適当に歩いていたら見つけた。)おそらく、彼らは不良気取りでコンビニ周囲にたまっているんだろう。

コンビニはセブン・イレブンだ。

飲み物は、ボトル越しに見ると、全体的に色が透明なのが多い。見かけで中身を推測できないのが痛い。結構、得体の知れないのが多くて、気軽に手を伸ばせない。

俺は、メロン風味の豆乳(?)みたいなのと、菓子をいくつか買った。店内の菓子はチョコばっかだ。半分くらいチョコなんじゃないか? チョコレートバーを一つ取って表示を見てみたら、1000カロリーを超えていた。

菓子と言えば、結構、俺がニュージーランドに住んでいたときにシナ系の食料品店に置いてあったのがあるのに気付いた。他にも、シナとは直接関係ないがニュージーランドで見たことのある菓子があった。懐かしさからいくつか買った。

コンビニの店員は、日本以上に無愛想だった。当然、言葉は一つもかわさず。この殺伐とした感じがいい。

ホテルに戻る。ロビーの前に行くと、特に呼ばなくても鍵を預けた男性が出てきて、鍵を手渡してくれた。俺とパンダ野郎は "Thank you" と言って何事もなかったかのようにエレベーターに乗ったが、そこで気付いた。もしかしたら、今、チップを渡すべきだったんじゃないか? パンダ野郎は、「この程度のことで渡す必要はないだろう」と意見した。しかし、心なしか、鍵を渡すときのボーイは何かを欲しがっていたような・・・。うーん、気になる。


ホテルではユーロ2004が大フィーチャーされていた


寝る前にこんなのを食ったら太るよな

部屋に入り、テレビをつける。シナ語ばかりかと思いきや、チャネルの半分くらい(?)は英語だ。何と嬉しいことに、一つ、サッカー専門のチャネルがあって(後でシナ語と英語の2チャネルあることに気付いた)、ユーロ2004を流しているではないか! 日本では民放がど深夜に一部の試合を流しているだけで、今まで試合を観たことはなかった。ここに来て観ることができるとは、思わぬ副産物を得た。

そういえば、昔、サッカーダイジェストで、香港の人々は海外サッカーが好きだという記事を読んだ覚えがある。このホテルでも、ユーロの結果がロビー近くのホワイトボードに記入してあって、試合があるときには大スクリーンでパブリック・ヴューイングみたいなことをやっている。

荷物を整理したり、菓子を食ったり、テレビを観たりして、まったりしていると、パンダ野郎は当然のごとくコンピュータを取り出し、インターネット接続を試みた。

しかし、万全の装備にも関わらず、結局、つなぐことはできなかった。だが、それにしても、何が彼をここまでして、インターネットの世界にいざなうのだろうか? 4泊5日の間、ネットにつなげなかったらそんなに嫌なのだろうか? 聞いてみると、彼は一日にメールを一日200通くらい受け取るらしい。200通? 彼によると、メルマガとか、一切合切(いっさいがっさい)を合わせると、それくらいに達するらしい。よくそんなに毎日裁いていけるなあ。

3時前くらいに、寝ることを決めた。「明日は何時に起きようか?」、携帯のアラームをセットしながら俺が言う。「普段通りでいいんじゃない?」、「と言うと12時半くらいか?」、「いやいや・・・」。

協議の末、9時半にアラームを仕掛け、電気を消した。(一日目、終了)

昼間の日差しを浴びる

9時半にアラーム(というか着うた。DJ Mitsu the Beatsの曲)が鳴る。俺がアラームを止め、向かいのベッドを見ると、パンダ野郎は微動だにしていない。眠いなりに「アラームには気付いてるよ、起きようとはしているよ」という仕草を見せようとすらしない。まったく、呆れるなあ。

と、気付いたら1時間くらいたっていた。起きないと。わざわざ期間限定で海外まで来て、だらだら過ごしていても仕方がないではないか。時間をパンダ野郎に指摘すると、さすがにもぞもぞと起き出した。

11時前くらいに、ホテルを出た。ただ、後で気付いたのだが、どうやら俺は、携帯のアラームをセットするときに、時間を1時間ずらすのを忘れていたらしい。だから、実際には予定通り、もしくはそれよりちょっと早いくらいの起床+出発だった。

ホテルから徒歩3分くらいに駅がある。?灣という駅だ。(最初の「?」になってしまった漢字はソフトが使っている文字コードに登録されていない文字のようだ。まあ駅名なんてどうでもいいから放置するわ)ホテルの向かい側に駅ビルみたいなのがあって、それを通って駅まで行くのだが、ホテルとビルをつなぐ通路はずっと屋根がついていて、日除けになっている。

日中の容赦ない日差しに初めてさらされるわけだが、何というかもう、暑いとしかいいようがないね。暑くてもからっとしているのならあまり問題はないと思うが、ここは湿度も日本以上に高いようだから始末に終えない。


こういう通路を渡って駅ビルみたいなところへ

ここらへんでサーバに上げるか。もっと先に進むつもりだったのだが。それにしても、日本も暑くなってきた。寝汗をかきまくる季節だ。これで、旅行記を書くときに香港の熱気を思い出しやすくなるかな。