2011年6月26日日曜日

『けいおん!』を5時間観たハロプロ好きが考えたこと。

どういうわけか、アラサーの男性3人が集結し『けいおん!』なるアニメ作品を5時間ぶっ続けで視聴する(「1期」全話+@)という企画が拙宅にて決行された。

乱暴にまとめると、『けいおん!』とは女子高校の軽音部員たちの活動を描いた作品である。

部屋のブラウン管(地デジ非対応)に映し出された光景は、『けいおん!』を今まで観たことないどころかアニメを観る習慣のない私にとっては見慣れないものだった。

『けいおん!』愛好家@yokohamalotte氏による解説を聞きながら作品を視聴していくにつれ、以前から抱いていたこんな仮説が確信に変わっていった。

『けいおん!』のファンと、アイドル※のファンが根底で求めているものはかなりの程度、共通しているのではないか。

この記事では上記仮説を、下記二つの切り口から立証する。

1.男性との関係が最小限
2.物語ではなく、登場人物が中心

※この記事で「アイドル」というとき、それはハロー・プロジェクトを想定している。

1.男性との関係が最小限

『けいおん!』を見ていて何よりも明らかだったのは、男性の登場人物が最小限に抑えられており、登場したとしても軽音部員の女子生徒と深く関わることは絶対にないという点である。

まず、舞台からして女子高であるので、学校に男子生徒はいない。文化祭で演奏する場面があるのだが、観客は女子生徒ばかりで、他校の男子生徒など見る影もなかった。

男性教師が出てくる場面もあったが後ろ姿と声だけで、何と顔が映らなかった。この徹底ぶりには笑ってしまった。

2011年6月22日水曜日

書評:"How Men Think"(『女性(あなた)の知らない7つのルール―男たちのビジネス社会で賢く生きる法』)

Adrienne Mendell, How Men Think

(日本語版:エイドリアン・メンデル、『女性(あなた)の知らない7つのルール―男たちのビジネス社会で賢く生きる法』)

題名からして女性向けなこの本を、男性の私がなぜ手に取った(正確にはキンドルでダウンロードした)かというと、先日参加したキャリアに関するセミナーで、佐藤留美さん(『結婚難民』の著者)が推薦されていたからだ。

男性たちへの取材を元に彼らの発想法や仕事における行動原理を解説し、彼らが支配的なビジネス界でいかに生き抜いていくかを具体的に説く、女性による、女性向けの指南書である。

念頭に置く必要があるのは、本書は米国の社会や企業文化を前提に、米国の女性向けに書かれているということだ。この本に「男のやり方」として出てくる事例が、仮に私たちの社会や企業で当てはまることがあったとしても、その程度や頻度はだいぶ控え目だろう(と、信じたい)。

一つの例を挙げると、筆者は「コンピュータの使い方を教えてあげるからパスワードを教えて」と言ってくる男の目的はあなたからデータを盗むことかもしれないと警告している。こういった個人の業績を得るために他人を騙したり蹴落としたりする行為は、弱肉強食の雇用環境や企業文化の上でしか試みる価値のあることとして成立しないだろう。

もっとも、そういった個別の事例はともかく、全体像としては日本でも共通する点が多いだろうし、日本の女性にとっても十分ためになる読み物だと思う。

それでは、男性にとっては役に立たない本なのだろうか? そんなことはない。むしろ、日本の企業で働く男性にこそ読んでもらいたい一冊だ。

一つの明らかな理由は、会社および社会一般で女性の働き手たちが置かれた立場を想像するきっかけになることだ。私は本書を読むことで、今まで抱いていた「ビジネス的な」考え方のいくつかが、実は「男性的な」考え方であり、女性にとっては馴染みにくいかもしれないことを知った。そして、「男性的な」考えや行動様式を身に付けなくてはいけない女性たちの気苦労を想像すると、ぞっとした。

もう一つの理由は、私たち男性も、状況次第で本書における「女性」になり得るからだ。メンデル氏は女性のことを、受け身で、ガツガツしておらず、競争よりも協力を好む存在として描写しているが、これらの特徴は男性と比較することで初めて導き出すことができる。だから、本当の論点は仕事をする相手との関係における自分の「女性的な度合い」なのであって、必ずしも性別そのものだけではない。

たとえば、日本人男性は、外国人と仕事をするときに「女性」になり得る。外国人を前にすると、言語やコミュニケーション・スタイルの壁、そしてコンプレックスによってうまく振る舞うことができない日本人は、多い。

また、同じ男性でもみんなが一様にガツガツしているわけではない。筆者が説明する「女性」の特徴に当てはまる発想や仕事のやり方は、個人差はあれ男性にも当てはまることはあるだろう。

つまり、本書は「草食系」の働き手が「肉食系」の働き手からいかにして身を守り、彼らといかに共存するかの手ほどきとして読むことができるのである。

もっとも、読後感はすっきりしなかった。なぜなら私には「男性が支配的なビジネスの世界で女性たちが生き抜くためには『オトコ』になるしかないのか」という疑問が、ため息とともに残ったからだ。

How Men Think



女性(あなた)の知らない7つのルール―男たちのビジネス社会で賢く生きる法